筐体の中に基板を入れるためには、表面実装部品を使うことが必須です。ということは、基板自体を自作する必要があるということです。
基板はパソコンでパターンを描いて、それをレーザープリンターで紙にプリントして、そのトナーを生基板に転写したものをエッチングする、というやり方で作ることができます。
今回は回路がそこそこ複雑だったので、EAGLEという基板設計用CADのお世話になりました。EAGLE無しでこの両面基板を設計するのは無理でした。プリントからエッチングまではだいぶ慣れてきて、失敗することなくここまで綺麗な基板が作れるようになりました。実はトナーの転写が難しかったのですが、ラミネータ(パウチする機械)を使うようにしたら途端に失敗率が0になりました。

この細かさでハンダ付けがうまくいくか少し心配でしたが、思ったより問題が無いことが分かりました。もう一段細かいピッチのICになると、基板を正確にエッチングできるかどうかも含めてだいぶ厳しくなる気がします。
裏表を繋ぐスルーホールは、本来は金属のパイプを埋め込むような加工をするところですが、うちでやるのは無理なので、針金を通してハンダ付けするというなんちゃってなやり方で済ませています。これにも多少の工夫が要りますが、失敗の少ない方法が見つかりました。
こうしてみると、サイズの制約が一番大きいのはコネクタであることが分かります。構造上、複数の基板を使う必要があったので、基板同士を繋ぐのにコネクタを使っています。コネクタを使わずにケーブルを直接ハンダ付けしてしまうと、後々ばらす必要が出てきたときに大変になります。

モータを支える板も裏側が回路になっています。中央ちょっと左の黒い長方形がモーターをオンオフするためのFETです。こんな小さなもので1Aくらいは平気で流せてしまう。

回転する円板の回転位置を検出するために、フォトリフレクタ3つを並べた基板を設けました。前回の人が歩くゾートロープと大体同じ構造ですが、フォトリフレクタの配置が異なっています。基板の裏(表かな?)になんとなく見えている黒い丸がフォトリフレクタです。

主な基板を揃えるとこんな感じ。この写真のセンサ(フォトリフレクタ)基板は古いバージョンで、実際には上の写真のものを使っています。他にも小さ目の基板が何枚かあって、全部でなんと6枚もの基板が小さな筐体の中にギッシリと配置されることになりました。

組み上げるとこのようになります。

回転する円板の裏にはパターンが印刷されていて、白黒の切り替わる位置をフォトリフレクタで読み取ります。このパターンで8つの位置を検出できます。

このように収まります。

一旦組み上げたものをばらしたところ。これができないと、例えば回路が動作していないことが分かったときに調べたり修正したりができません。

あらためて組み上げたところ。

ちなみにエッチングはこのように小さなタッパにエッチング液を入れてやっています。ごく小さな基板しか作らないのでこれで十分です。このタッパはいつでもデスク上にあって、割と気軽にエッチング作業ができるようになっています。

上の基板のエッチングが終わって、トナーを剥がすとこのようになります。
